ワレンタイン（ワル＋バレンタイン）

「えーと、こいつを溶かして……」

「で、色はどうしよっかなあ」

悪田家（２ＬＤＫ・アパート）厨房。厨房というか、こじんまりとしたキッチン。
くまさんエプロンで、割と楽しげに鼻歌なんか歌ったりしている恋する乙女風の何か。

要するに、何故かチョコを作っているワルダー（すっぴん）が居た。

ちなみに、別に恋する乙女ではない。

作っているチョコも……まあ、過程はすっ飛ばして完成品のイメージを見せると、その。



うん、またコレなんだ。すまない。
ワルダーに流れる米国の血がそうさせるのか、完成したチョコレートは実に奇抜な色合いのものとなった。

「よーし出来た。後はこいつを包んで」

意外に器用な手捌きでラッピングするワルダー。内職は伊達じゃない。
実家の経済状況の数％は造花作りで賄っている。イグニッションして。

「義理チョコ、完成……とぉ」

義理かよ。

「いやホラ、勘違いされねえようにさ。出来るだけヤバげな見た目にしようと思って」

分かるような分からないような。でも食べるのを躊躇するような色はどうだろう。

「うっせえよてめェも食えやコラァー！」

もがふぐ……ああ、美味い！？予想外に美味い！？

「フ、ベースは某高級チョコだからな。不味いはずがねェ」

勿体無い事を……（もぐもぐ）